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「まわし物件」を利用した不動産会社のズルい営業方法とは?(1/2ページ)

大友健右大友健右

2016/08/02

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営業マンは巧みに買主の購買意欲を刺激する

これまでの連載で「まわし」「まわし物件」という言葉を出してきましたが、今回あらためて詳しく解説しておきましょう。当て馬に使う物件ということでもいいですし、ダシということでも、見せ玉ということでもかまいません。また、「おとり」という考え方でもいいでしょう。

この「まわし物件」には、二つのケースがあります。

一つはとんでもない「買いたくない家」として紹介するケースです。つまり、買い仲介のポジションに立った不動産業者が、本当に売りたい、いわば「本命物件」の引き立て役として使うのです。

ある人が「家を買いたい」と不動産会社を訪れたとします。そこの営業マンは買主の意向を聞き、物件の販売図面を取り寄せて、いくつかを案内して回ります。

そのとき、お客さんにとって「買いたくないような家」をまわし物件として用意しておきます。見た目にボロ家ということも実際にはありますし、敷地がいびつだとか、うるさい工場に隣接しているとか、火葬場や墓地の隣だとか・・・そのように、買主にとって「これはイヤだな。買いたくないな」と思える物件でいいのです。できれば、そうした家を1軒より数軒、用意しておきます。

そして、その家を訪問したとき、営業マンは、きっと買主にこのようなことを言うはずです。

「お客さんのご要望だと、現実はこのような感じの家がほとんどなのです。そのことをまず、理解してください」

営業マンはそう言ってまわし物件を見せた最後に、ごく普通の家を見せます。買主にしてみたら、普通の家でもずいぶん立派に見えるでしょう。

そこで、営業マンはこう切り出します。

「これがお客さんのご要望から考えて、最もいい物件ですね。ほかのお客さんも見に来ています。今お申込みをいただければ、対応できますよ」

買主としても、いくつかの「買いたくはないな」と思うようなまわし物件を見せられてからの1軒ですから、普通の家でも立派に見え、購買意欲が自然に湧いてくる・・・というわけです。

ところで、もし、その不動産会社が新築の建売りに力を入れているのであれば、買主に見せる最後の1軒を新築にして、

「ちょっと土地は狭くなりますが、今ならプラス300万円で、こんな新築にも手が届きます。ローンを組んで比較すれば、中古の購入と新築の購入とのローン金利差が大きいので、返済総額では新築のほうがお得ですね」

といった話で締めれば、買主も納得し、不動産業者としてはそのとき自分が売りたい物件を売ることができるのです。

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この記事を書いた人

株式会社ウチコミ 代表取締役 株式会社総研ホールディングス 代表取締役 株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役 1972年生まれ。大手マンション会社で営業手法のノウハウを学んだのち、大手不動産建設会社に転職。東京エリアにおける統括部門長として多くの不動産関連会社と取引、不動産流通のオモテとウラを深く知る。 現在、株式会社プロタイムズ総合研究所 代表取締役として、住宅リフォームを中心に事業を展開。また、株式会社ウチコミ 代表取締役として、賃貸情報サイト「ウチコミ!」を運営。入居の際の初期費用を削減できることから消費者の支持を集める。テレビ・新聞・雑誌などメディア出演も多数。

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