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マスターリースとサブリース(1/2ページ)

森田雅也森田雅也

2017/06/20

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不動産投資にマスターリースとサブリースという言葉があります。これは、賃貸人が投資マンションなどを一括で賃借人に貸し付け(大抵、管理会社や不動産デベロッパーなどがこの賃借人になることが多いです)、次に、その賃借人が個別で転借人と転貸借契約を締結します。このときにおいて賃貸人と賃借人との契約をマスターリース契約といい、賃貸人からみて、賃借人と転借人との契約をサブリース契約といいます。

サブリース契約のメリット・デメリット

この契約形態における最大のメリットは、空室が出たとしても賃貸人の家賃収入に一切影響がないところにあります。その理由は、賃貸人は投資物件の一棟全てを賃借人に貸しているので、賃貸人には所有不動産に空室が出ていても、賃借人が当該賃借物を使用収益している点には変わりないのです。

もう少し分かりやすく説明すると、賃貸人が貸している物件は一棟であって、一室ではないということになります。すなわち、賃貸人から見た場合の空室とは、その所有不動産において賃貸借契約の解除と同意義になります。

ただし、空室時のリスクや、入居者募集などを管理会社などの賃借人が受け持つので、マスターリース契約の賃料よりも、サブリース契約の賃料のほうが高くなります。その分、実際に使用するテナントや、居住者とは賃借人である管理会社が交渉するので、賃貸人の負担も減ります。

また、建物の老朽化や、財政の不況、空室の頻繁化などで賃借人から借地借家法32条の賃料増減請求権を行使されることがあるということを検討しなくてはなりません。

なお、最近では、一棟貸ではないサブリース契約や、空室率に応じて柔軟に賃料設計をするケースもあり、前述のようなメリットが当然には当てはまらないこともあるので注意が必要です。

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この記事を書いた人

弁護士

弁護士法人Authense法律事務所 弁護士(東京弁護士会所属)。 上智大学法科大学院卒業後、中央総合法律事務所を経て、弁護士法人法律事務所オーセンスに入所。入所後は不動産法務部門の立ち上げに尽力し、不動産オーナーの弁護士として、主に様々な不動産問題を取り扱い、年間解決実績1,500件超と業界トップクラスの実績を残す。不動産業界の顧問も多く抱えている。一方、近年では不動産と関係が強い相続部門を立ち上げ、年1,000件を超える相続問題を取り扱い、多数のトラブル事案を解決。 不動産×相続という多面的法律視点で、相続・遺言セミナー、執筆活動なども多数行っている。 [著書]「自分でできる家賃滞納対策 自主管理型一般家主の賃貸経営バイブル」(中央経済社)。 [担当]契約書作成 森田雅也は個人間直接売買において契約書の作成を行います。

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