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遵法性(建築基準法適合判定)のチェックポイント(1/2ページ)

熊ヶ谷一幸熊ヶ谷一幸

2016/08/01

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先日、鑑定協会主催で証券化不動産の評価についての研修会というのに参加したのですが、その中でER(エンジニアリングレポート)と遵法性についての講義がありました。 不動産鑑定士は建物の設計や構造のプロではありませんし、建築基準法や消防法などの関連法規に関する専門家でもありません。

しかしながら、不動産の価格を第三者として出す以上、不動産の価値に影響を与える土地建物(特に建物)の物的な遵法性についても、一定レベルの知識が必要です。 そこで、今日は不動産業や建築関係出身ではない人が、不動産購入に携わる際に、注意すべき基本的なポイントをいくつか列挙してみます。

確認済証、検査済証があるか

基本的な事であり、市役所で建築計画概要書や台帳記載事項証明を入手して確認します。

用途変更は要注意
図面上は事務所なのに、現況は住居になっていたり、竣工時は1階が駐車場だったはずなのに今は店舗になっている、といった用途変更はよくあります。手続の有無や過去の経緯を可能な限り確認します。 特に、駐車場をつぶしている場合については、手続違反にとどまらず、容積不算入の特例の関係か建物全体の容積率にも関わってくる場合があるので要注意です。 東京その他の都市部では、建築時に一定の面積割合の住宅付置を義務付ける条例や要綱なども多いですが、竣工後にこれを変更するのも違法です。

無届の増築有無
研修では、実例として増築扱いとなる駐輪場の屋根や、物置(ゴミ置場)の屋根を手続なしで後付けするケースが取り上げられていましたが、これも経験上非常に多いです。

竣工後の敷地の分筆
建物が建った後に、敷地の一部が隣地に分筆・売却され、敷地面積が減ってしまったために現況は建蔽率・容積率オーバーになっている、ということもよくあります。 建築確認時の敷地と、対象地の面積が異なる場合、実測と公簿の違いなら問題ないですが、あまりにも差がある場合は、土地の一部が既に切り売りされている可能性があり、意外と見落としがちなポイントです。

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この記事を書いた人

不動産鑑定士

株式会社東洋不動産研究所 代表取締役。1966年(昭和41年)生まれ。平成元年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業。 学生時代はバトミントンなどのスポーツとアルバイトに没頭。不動産を生かすのは人間次第であり、個人生活・企業活動の成長は不動産のあり方・価値を極大化し、さらに個人生活・企業活動を成長させる、という不動産とのベストな付き合い方を提唱。どのタイミングで取得して処分するのかを時間軸でとらえ、ソリューション型の不動産調査・鑑定を日々実践している。 趣味は、エアロビクス。大手スポーツクラブの特別会員となっており、時間があればあちらこちらのスタジオに出没しては、主に中上級者向けエアロビクスを楽しんでいる。来年は、競技エアロビクスにチャレンジしようと考えている。 [担当]物件調査 熊ヶ谷一幸は個人間直接売買において物件調査により権利関係の確認をします。

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